東武鉄道は、2023年に導入する特急「スペーシア」の新型車両N100系について、インテリアとシートバリエーションを決定しました。
同社は、沿線最大の観光地である日光・鬼怒川エリアへの観光需要に応えるため長年にわたり特急列車を運転しており、現在は1990年(平成2年)デビューの100系「スペーシア」が中心的役割を担っています。新たに導入されるN100系は、スペーシアが築いてきた伝統やイメージを引き継ぎながら、より上質で、利用者それぞれの旅行スタイルに合わせた空間を提供するフラッグシップ特急車両となります(車両編成は下図を参照)。
6号車は現行スペーシアを継承し、個室専用のコンパートメントルームとなります。このうち、車両先頭部に位置する「コックピットスイート」は、車両幅いっぱいを活用した私鉄特急最大となる11㎡の7名用「走るスイートルーム」です。プライベートジェットをイメージしてデザインされた室内空間には飾り照明やソファーが配置され、前面や側面の窓からの展望を存分に楽しみながら移動することができます。
反対側の先頭車である1号車は「コックピットラウンジ」と名付けられ、日本最古のリゾートホテル「日光金谷ホテル」や、日光に残る大使館別荘がモチーフとされた気品高い空間に仕上げられます。コックピットスイートと同様に前面展望が楽しめるほか、併設のカフェカウンターではここでしか手に入らない五感で楽しむ商品などが提供され、「自分だけの最適な日光・鬼怒川エリア」と出会える場になるとのことです。
2号車のシートは2+1列配置で、シートピッチも現行スペーシアより10cm広げられた「プレミアムシート」です。東武では初採用の電動リクライニングやバックシェル構造により、快適性とプライベート性の向上が図られています。スタンダードシートは現スペーシアと同じくゆとりのある座席で、一部には半個室タイプのボックスシートも新たに設けられます。
車両コンセプトは「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」。車両に乗り込んだ瞬間から日光・鬼怒川エリアへとつながることができ、何度でも同エリアを訪れたくなる特急を目指しているとのことです。車両の外観は、日光東照宮の陽明門・唐門・御本社に塗られた「胡粉(ごふん)」をイメージした高貴な白に包まれています。窓枠は、鹿沼に江戸時代から伝わる組子や竹編み細工などの工芸品を思わせる意匠となっています。
また、100系と比べてCO2排出量が最大40%削減されるほか、すべてを再生可能エネルギー由来の電力に実質的に置き換えることにより、CO2排出量を実質「ゼロ」とする取り組みも行われます。